◆ 自治会とは? (2016.3.3更新)

「自治会・町内会」と言うと、「年寄りが中心となって、盆踊り、秋の祭そして町内清掃を行う組織で、輪番制で担当が回って来る面倒な組織」と言う認識の方が、多いのではないでしょうか?

多くの市区町村で高度成長期以降「職住分離」が進み、集合住宅や新興開発分譲住宅街が増えると共に新しい住民が増え、道行く人も見知らぬ人が増えています。そして、団塊の世代が定年を迎え、昼間の人口が増加していると思われます。正確には、パチンコ、ゲームセンターに行くシニアや、ゴルフ、テニス、ダンス、写真撮影等の行動派と家でTVの御守りをしながら時々家庭菜園をするシニアと別れるのかも知れません。 いずれにしても昼間の居住者が増加すると、当然「生活の便利さ」や「生活の豊かさ」を求めるようになります。単に「どのような家に住む」と言う事でなく、より良い「生活環境」を求めるようになって来ます。この要求は、共同・統一的な行政サービスでは満たされない場合が有る訳です。
他方、阪神淡路大震災で救助された人の約80%は、隣近所の人たちによって救助されており、地域住民組織である「自治会・町内会」を見直す契機となっています。

私自身は、分譲型マンションに転居して2年目に輪番制でマンション管理組合理事そしてくじ引きで理事長になりました。マンション管理組合は、地域の自治会に参加していたため自治会担当理事を設けていました。自治会担当理事も決まらなかったので、仕方なくそれも兼務する事としました。自治会(会員数最大時約930会員)では、結局会計を2年間、会長を8年間担当しました。会長在任中の数年間は、自治会連合協議会に属し、広報紙の企画・編集・発行を担当すると共に総務委員・総務委員長も経験しました。

会社組織とは全く異なる「自治会組織」を運営したり自治会連合協議会に参加して見て、価値観の異なる役員をまとめる事の難しさややる気を起こさせる難しさを実感すると共に、「方向性の発信が如何に重要であるかを改めて認識しました。具体的に言えば、年間行事予定や行事実施方針を事前に公表しておけば、基本それを実現するよう(責任ある役職には就きたくないが、担当としてなら協力する)各役員が努力してくれると言う訳です。異議の有る方は、正式に提案された時点で議論(反対)するという事です。

◆ 自治会の定義

■ 自治会・町内会(ちょうないかい)の定義  (2016.2.10更新)

日本の都市や町・村において、そこで居住または営業する全ての住民及び事業所等を組織する事を目指し、そこでの親睦、共通利益の確保・促進を図る住民自治のための任意団体・地縁団体とその集会・会合を「自治会・町内会」と言います。

この定義の中で重要な事は、「全ての住民及び事業所等を組織する事」と「任意団体」であるという事です。 自治会は、(担当地域の)全ての住民を組織する事が、基本的な方向です。全ての住民を組織する事とは言え、それは強制ではないことに注意する必要が有ります。


■ 自治会と町内会(町会)の名称  (2016.2.10更新)

名称には自治会、町内会、町会、区会、地区会、部落会、等地域毎に様々で、決まりは有りません。都心部では、昔からの「XX丁目町会」等の名称が多く、都心周辺部の戦後開発された団地や住宅地の多い所では住民自治を表すため「XX自治会」の名称が多い状況です。

名称には、所属会員の地域への愛着度等から、昔からの地名や特徴(例:五本欅(けやき)自治会、XX神社前自治会、等)を名称に取り入れている場合が有ります。神社を中心にしたXX神社門前西自治会、XX神社下自治会、堀の下自治会等の名称により、自治会担当地域の概略範囲が容易に分かる場合が有ります。

名称について総務省自治行政局2002年11月の資料を見ると、下記のようになっています。

  • 名称=自治会  114,222(38.5%)
  • 名称=町内会   65,685(22.1%)
  • 名称=町会    17,813( 6.0%)
  • 名称=部落会   15,851( 5.3%)
  • 名称=区会     5,773( 1.9%)
  • 名称=区     42,880(14.4%)
  • 名称=他     34,546(11.6%)
  • 合計      296,770(100%)
■ 自治会とマンション管理組合

自治会・町内会とマンション管理組合とは、全く異なるものです

自治会は、その地域の住民・企業・商店等が親睦・住み良い町づくり等の共通利益確保のために組織する任意団体ですが、マンション管理組合は区分所有者法により組織され、居住するマンション施設の維持・管理及びコミニュティ形成をその目的としています。

マンションの区分所有者でないと管理組合員になれませんので、賃貸で入居している人は、管理組合の役員にはなれません。最近は、分譲型マンションに賃貸居住者が増えて管理組合の存続が難しくなった所が有り、非居住者のオーナーを組合員と認める所が有りますが、難しい問題(例:居住地が遠距離で理事会等に出席出来ない等)が有るようです。

マンション管理組合の機能として「コミュニティの形成・維持」が有りますが、上手く行っている管理組合は非常に少ないと思われます。ほとんどのマンションでは、挨拶も半数位の人しかせず、隣に住む人がどんな人か分からない場合も多いと思います。マンションに住む大きな理由の1つが、「人付き合いをしなくて良い」と言う事も理由として挙げられます。


■ 自治会の基本的性格

自治会を理解する上で、その基本的性格を知る事は、重要だと思いますので列挙して見ます。

1.一定の地域区画を持ち、その区画が相互に重なり合わない。
2.上記区画内の全ての住民で組織するが、世帯を単位としている。
3.原則として、全世帯が参加する。
4.地域に起こる様々な問題に包括的に対処する。
5.結果として、行政や第3者に対して地域(住民)を代表する。

意外と知らないし分からないのが、「自治会・町内会の区域は重ならない」と言う事。道を挟んで反対側の自治会は、財務状況も良く大きなイベントをやっているからそちらに加入しようと言うのは、管轄範囲外なので本来ダメです。

「会員が世帯単位」は基本的事項ですが、実は自治会運営上は結構面倒なことも多いです。例えば、バス旅行の事前申し込みを受けたとして、普通は面倒なので実参加者名しか参加申込書に書いていない(行事保険に入るためにも実参加者の名前は必須)ので、同居息子夫婦が申込んだらどの家か分からない! 大体会員登録している人が誰か、家族もきちんと理解していません。世帯主が高齢になると、本人が勝手に「自治会の用件は息子が受ける」としている場合なども有ります。昔は、入会申込書なんて無かった! 敬老金の申込書を受け取ると、同居している爺さん・ばあさんの名字が違う場合が多いので、申込書の設計を間違えると混乱の元になります。 更に、最近では、高校時代の同級生老人同士が同居(女性同士、男性女性の場合等)したり、老人同士の事実婚が有ったりと(同居)家族構成員も複雑多岐にわたる状況です。本当、分からない!

自治会の対処する問題が、ある地域の問題(例:野良猫が多いので何とかしてくれ!、道路を不正に占拠して作業用車両を昔から駐車しているのでどかしてくれ!等)の場合、役場の担当部署を探して交渉するのは、サラリーマン自治会役員では、時間が無くて無理。年寄り役員では、中々進展しない。ある意味もめごとなのでまじめに対処する役員が居ない。苦情は持って来ますが、「対応しましょう」と言うと(役員の)誰も手を上げない!

「自治会・町内会が、結果として地域代表になる」と書きましたが、最近は代表するような問題が無いのでは?とも思います。行政の末端広報組織化している自治会は、特にそうです。地域に各種の縦割り行政組織が出来、それぞれ仕事をし始めたので自治会の仕事が無くなったとも言えます。例えば、児童の健全育成については、PTA、健全育成会、児童館等が種々の行事・対策を行っています。防犯は、防犯協会等です。